二月に読んだ本で印象深かったのは、重松清著の『疾走』だね。
これでもかというくらいに、主人公である少年に降りかかる苦難。
全体的に暗い雰囲気で物語が進むので、あまり明るい気分にはならないのだが何とも言えないものを訴えかけるような作品となっている。
また、主人公を語るときに敢えて「おまえ」の二人称を使っているのが、あたかも読んでいるこちらのことを言っているかのような錯覚を感じるのが何とも新鮮である。
「ひとり」についてのくだり「孤独」「孤高」「孤立」の表現が一番印象深い箇所である。
これは、物語の主軸ともなっているので力を入れている箇所でもあったのだろう。
次点として『終物語 中』を挙げられる。
久々に物語シリーズらしい青春と怪異の作品となっていたのではないかと思う。
ただ、それは今までの作品の繋がりがあるからこそ思えるので、これから読み始める人にとってはさっぱりかもしれないということで次点に。
さてさて今月は何があるやら。
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疾走 上 (角川文庫) (2005/05/25) 重松 清 |
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疾走 下 (角川文庫) (2005/05/25) 重松 清 |
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終物語 中 (講談社BOX) (2014/01/29) 西尾 維新 |
2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:3744ページ
ナイス数:76ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/303328/matome?invite_id=303328
■疾走 下 (角川文庫)
移ろいゆく少年の機微を描いた物語。爽快感とはほど遠いいが、タイトルのごとく駆け抜けるような物語である。
救いのない話であるのに、どこかしら心を揺さぶられるような余韻を受ける。
敢えて、語りべが「おまえ」として物語を進めていくのであたかも読んでいる自分に訴えかけるような錯覚を感じる手法はちと面白いな。
読了日:2月27日 著者:重松清
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/36011221
■疾走 上 (角川文庫)
環境の変化につれ、同じように変わっていく少年の機微をえげつなく描いた物語。
「孤独」「孤立」「孤高」の解釈はなるほどとしっくりくる。
読了日:2月26日 著者:重松清
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/36011177
■終物語 中 (講談社BOX)
まさに青春は怪異とツキモノだと言える一冊。怪異絡みと思いきや青春の要素も併せ持つ「化物語」らしさの物語と云えよう。この巻で夏休みの出来事がある程度保管されるようになってくるのは、若干蛇足気味とも感じられる。ただ、暦と駿河の関係性いや関連性だけでなく忍との関わりに関しての一面もあるので注目できる巻といえよう。
読了日:2月22日 著者:西尾維新
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35883879
■夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
二人の語り部の物語。敢えて名前を出さず一人称も同じにして混乱させるような展開が程よいアクセントとなっている。なので、文章も口語調で慣れれば(もしくは合えば)さくっと読める作品。物語は二人の登場人物両者の思春期ならではの妄想というか自意識過剰があふれ出る青春モノといえようか。
読了日:2月19日 著者:森見登美彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35836461
■狐火の家 (角川文庫)
短編集。榎本の以外な趣味が謎解きに関わってくる。ただ、どの短編の密室の謎解きに無理があるような気がするのは、自分の読解力の無さかな。
読了日:2月15日 著者:貴志祐介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35686348
■硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
三人を主軸に物語が展開していく。密室の謎解きに関しては、自分で解くというよりも解説を読む感じだね。後半から出てくる椎名章の下りは臨場感というか切迫感があり、読み応えある。
読了日:2月13日 著者:貴志祐介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35686219
■鍵のかかった部屋 (角川文庫)
密室殺人がメインの短編集。1作目と思いきやまさかの3作目。密室の謎を解くことで犯人を追い込んでいく物語。なので、密室を解いて終わるちょっと珍しい終わりかたとなっている。
読了日:2月5日 著者:貴志祐介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35452693
■GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 4(下) (電撃文庫)
4巻を通してのテーマは敗戦からの再起だろう。それに呼応しているのが本多二代・伊達成美、それに大久保長安を代表として挙げることが出来る。武蔵も改となり、これからの歴史再現に向けての足がかりとなる巻となった印象だね。
読了日:2月5日 著者:川上稔
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/35452563
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